部族キューブとイコリア
皆様、疫病が蔓延し外出を控えざるを得ない今日この頃いかがお過ごしでしょうか。
私は普段から引きこもりがちな性分なのでほぼノーダメージですが、いつ終わるとも知れないこの事態に不安を感じている方も多いと思います。
ですが、こんな状況でも嬉しい出来事がありました。
そう、『イコリア:巨獣の棲処』の発売です。
ビビアンさんも嬉しそうにしていますね。
新たなエキスパンションが登場したということは、スタンをはじめとした競技環境はもちろん、既存のキューブにも変更点が生じる可能性があるということです。
そして、新たなキーワード能力である『変容』は部族キューブにも変容をもたらすことが期待されます。
変容は
あなたがこの呪文をこれの変容コストで唱えるなら、あなたがオーナーであり人間(Human)でないクリーチャー1体を対象とし、これをそれの上か下に置く。これらは、一番上のクリーチャーにその下にある能力すべてを加えたものに変容する。
という能力。肝心なのは「人間でないクリーチャー」というところ。
まずテキストで何らかの部族を指定するカードはすべて部族カード認定をしているので、変容能力を持つカードはすべて部族カードであり、キューブに採用される資格があると言えます。(暴論)
そして、これが一番重要な点ですが、人間以外を要求するということは多相を持つクリーチャーは変容できないということです。何にでもなれてしまうが故に何者にもなれない多相の悲哀が感じられますね。
部族キューブは多相と複数の部族シナジーを掛け合わせて戦うという特性上、どうしてもドラフトの際に多相持ちの取り合いになりがちです。
それ自体は環境特有の味として楽しめる一方で、あえて王道を外れたピックを肯定するような戦術も用意したいと考えていました。
そのために《グラングリー》なんかを入れてみたりしていましたが、流石にこれ一枚でコンセプトになるかと問われるとややパンチに欠けるなという印象でした。
人間以外を要求するカードが環境に与える影響を大きくすることができれば、あえて多相を避けたピックを促すことにつながり、ドラフトに深みが出るのではないかと期待してします。
イコリアには他にも「人間以外」を指定するカードがいくつかあるので、それらも採用すれば部族キューブはこれまでとは違った姿へと変容していくでしょう。
気になるカードたち
ここからは具体的にイコリアで部族キューブへの採用が期待できるカードを見ていきましょう。
《聖域封鎖》はシンプルに置物として使いやすそうなカードです。除去されにくいタッパーのロードと考えればかなり有力な一枚でしょう。
《幼獣守り》は変容するたびに猫トークンを二体生成します。
変容を持つカードはいくつかありますが、このカードの優れた点は猫であり、猫を生むところです。
猫には優秀なロードが複数存在するため、猫をばらまける能力はキューブの内容次第では非常に強力なものになるでしょう。
《心を一つに》は部族キューブに相応しいドローソースとして待望の一枚といえます。
これまではあまり納得いかないままとりあえず《嘘か真か》を入れていましたが、これからはそのもやもやを感じずに済むでしょう。
《翼長の導師》は人間以外に能力カウンターを乗せるサイクルの一枚ですが、これが選ばれたのには理由があります。
それはウィザードである点です。《ナバン》が出ていれば二回誘発しますし、場に出ていれば《魔術師の反駁》等のコスト軽減にも役立ちます。
《永遠羽のフェニックス》は非常に部族キューブ適性の高い一枚です。
変容は人間以外を要求するが故に多相を素材にできない一方で、能力で生成する「羽根トークン」はフェニックスに対応するため多相と相性がいいという面白さ。
多相を介して様々な部族が交錯する部族キューブの旨味を堪能できるカードになるでしょう。
《巨大猿、コグラ》《水晶壊し》はそれぞれ置物を破壊できる能力を持っています。
《自然への回帰》等の置物対策を採用するとキューブの濃度が下がるため、なるべく入れたくなかったのですが、これらのカードを入れることでこの問題は解消できます。
それぞれ人間と人間以外を要求するため、デッキに合わせてピックすることもできますしね。
《生存者の絆》は使い勝手の良い墓地回収です。似たようなカードにはすでに《絶滅からの帰還》があるので二枚目が必要か疑問ではあるのですが、選択肢が多いのはキューブの調整の際に効いてきます。帰還を絆に変えた分、黒の除去を追加できるなどの微調整が可能なのはとても便利なんですよね。
頂点サイクルは変容以外の能力は部族キューブに合うとは言い難いですが、クリーチャータイプがとても優秀です。どの頂点もエレメンタル、恐竜、猫のいずれかを持っており、これらは対応するカードの多い部族なので何かしらのシナジーが発生するでしょう。
《ドラニスのクードロ将軍》《孤児護り、カヒーラ》はそれぞれロードとして活躍が見込めるカードです。複数のロードで膨れ上がった多相で殴り合う試合が多い部族ドラフトでは将軍の破壊能力は非常に効果的といえます。
カヒーラはロードとしては普通ですが、相棒能力という特徴があります。多相の多いドラフト環境なので相棒に指定するのも難しくないでしょう。
《軍団のまとめ役、ウィノータ》も人間以外をトリガーに人間を呼び出すという面白い能力を持っています。人間を呼んだつもりで多相の妙な生物群に殺到されるウィノータの心境は計り知れませんが、誘発すれば盤面での優位を築けるはずです。
最後に
キューブドラフトは実際に集まらないと実現が難しい遊びであり、外出自粛の必要がある現状ではこうしてカードを眺めて思いを馳せる他ありません。
いつか再び対面で遊べる日に向けてこの自粛期間中にキューブの構想を練るのもいいと思います。
では、ごきげんよう。